『Runner』
中馬大蔵(ちゅうまんおおくら)
生誕 永禄9年(1566年)
死没 寛永12年(1636年1月25日)
中馬大蔵まさに義弘公の一大事を知り、槍一本を取りに帰りそのまま上方に一目散へ向かう一コマを再現しました。5作品の中で唯一甲冑をつけていない作品となりますが、それ以上のインパクトを目、顔の表情や髪型等で表現できればと制作にあたりました。
中馬の槍
私自身確認出来ていないのですが、中馬の末裔の女性の方が嫁入り道具の一つとして嫁いだ話と写真が残っており、その穂先は非常に大きかった(薙刀では無かったかの証言もあります。)と言う話をお聞きしており、唯一持ち出したと言われる槍もあくまで想像ですが、同時の槍を基に穂先は大きくし、金具等は質実剛健にし、穂先下の金具は刀で穂先を切り落とされない工夫で、紐を巻いた金の凸は穂先から血がしたたり落ちて、手が滑らない為の実践的な作りです。尚写真は制作途中のもので、木刀を差しています。
武士の股引き(ももひき)
当時の薩摩の装束もわからない事が多く着物も一般的に残っている絵などを見ると、作業中や旅などの時には短い丈を着ているようで、兵農分離の行われていない薩摩で畑仕事の最中馳せ参じた中馬は未だ褌姿の可能性も高いのですが、甲冑を着ている他の武士達と比べるとあまりに可哀想なので、桃山期にポルトガルから伝わり急激に日本国内、特に量産品として足軽達に広がった股引きにしました、後に水戸黄門の助さん格さん一般庶民の旅装束としても広がった股引きは、大小排泄時も勝手が良く動きやすく実用性に富んでいます。
色も助さん格さん等ポピュラーな浅葱色染を意識しています。泥だらけでボロボロの股引きに中馬大蔵の薩摩の魂が感じられればと思っています。